- 読み方
なさけはひとのためならず - 意味
情けをかけるのは相手のためだけではなく、巡り巡って自分に返ってくる - 英語
A kindness is never lost.(親切は無駄にならない) - 使い方
彼を助けたのは情けは人の為ならずだから。次に私が困っているときに助けてくれるかもしれない。 - 類義語
思えば思わるる
積善の家には必ず余慶あり
人を思うは身を思う - 対義語
慈悲が仇になる
情けの罪科
情けも過ぐれば仇となる
『情けは人の為ならず』の意味
情けは人の為ならずの意味を見ていきます。
多くの人が勘違いしやすい解釈や、言葉の本当の意味に注目しましょう。
『情けは人の為ならず』の意味を説明
情けは人の為ならずの意味は『人に対して情けをかけていれば,巡り巡って自分に良い報いが返ってくる』です。
相手のためだけではなく、やがて自分に返ってくるから、人には親切にした方が良いという解釈になります。
間違いやすい解釈は「他人には厳しくした方が良い。相手のためにはならない」という意味で使うこと。
この使い方だと本来の意味ではありません。
『情けは人の為ならず』とは?由来
先ほどのような誤解が生まれるのは言葉のもつ意味が変わったからです。
まず”情け”に関しては、現代だと同情という意味合いが大きいですよね?
ただ昔は『思いやり』といった意味もありました。
そして昔だと”ならず”は”~ではない”という意味。
だから「人のためならず」は「他人のためだけではなく自分のため」といったニュアンスになります。
なので現代の意味でとらえると『同情は相手のためにならない』と勘違いしやすいのも当然。
ただ本来の意味は『思いやりは相手のためだけでなく自分のためにもなる』となります。
打算的なことわざではなく、他人への親切さの重要性を訴える心暖かいことわざなんですね。
『情けは人の為ならず』の英語
『情けは人の為ならず』の英語表記はOne good turn deserves another.
直訳すると「ひとつの善行がもうひとつの善行に値する」となります。
また他にも似た意味となる慣用句は存在します。
- one good turn deserves another.
ひとつの善行がもうひとつの善行に値する - A kindness is never lost.
親切は無駄にならない - Charity brings its own reward
慈善事業は自分自身の報酬を持ってきてくれる - Kindness is not merely for the sake of others.
親切心は単に人のためではない
『情けは人の為ならず』の使い方と例文
では先ほどの意味を踏まえた、情けは人の為ならずの使い方を見ていきましょう。
『情けは人の為ならず』を使った例文①
彼を手伝ったのは彼のためだけではない。情けは人の為ならずだ。いつか自分が困ったときに助けてくれるかもしれない。
『情けは人の為ならず』を使った例文②
新人を教育してほしい。情けは人のためならず。戦力になれば君も助かるはずだ。
情けは人の為ならずを使った例文③
情けは人の為ならず。日頃から人に親切にした方が良いよ。
『情けは人の為ならず』の類義語・似た意味のことわざ
他人に親切にしようといった意味のことわざや四字熟語は他にもあります。
- 因果応報 良いことも悪いことも自分に返ってくる
- 善因善果 良いことをすれば良いことが起こる
- 思えば思わるる 相手を好きになれば自分のことも好きになってくれる
- 積善の家には必ず余慶あり 良いことをしている家庭には自然と良いことが集まる
- 人を思うは身を思う 他人に優しくすると、やがて自分のためになる
『情けは人の為ならず』の対義語・反対の意味
逆に『他人に親切にしすぎてはいけない』といった意味のことわざや四字熟語もあります。
- 恩が仇 恩を受けた人に対して、恩を返さず害を加える
- 慈悲が仇になる 好意を持ってしたことが、相手にとって返って仇になる
- 情けの罪科 好意でしたことが、返って相手のためにならない
- 情けも過ぐれば仇となる 好意も、やりすぎてしまうとよくない
『情けは人の為ならず』は意味を間違えやすい!
今回は『情けは人の為ならず』の意味や使い方・類義語・対義語について解説しました。
思いやりや親切心は自分にも返ってくるといった意味で使います。
相手を助けるのは相手のためにならないといった意味ではないので注意しましょう。
『情けは人の為ならず』と同じくらい定番のことわざは以下にまとめてあります。